迷ゲームメーカで行こう 第 5話・ノヴァ・ゲームズ(カナダ)

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お久しぶりです。

迷ゲームメーカで行きましょう。


目次


インベーダ』ヒット後もゲーム輸入を続けたタイトー

タイトーは元々大東貿易と言う社名で、その名の通り輸入販売をメインとした貿易会社でした。

このためか、昭和54年(西暦1979年)にオリジナルゲーム『スペースインベーダ』が大ヒットしてからも自社開発と並行して北米のゲーム作品の輸入を続けておりました。

その中にはウィリアムズ・エレクトロニクスが開発した『ディフェンダー』などの名作もありました。

輸入方法は直接北米の開発会社から基盤等を買い付ける方法もあれば、北米の開発会社とライセンス契約を結んで日本で生産販売する方法もありました。

タイトーがライセンス契約を結んだ会社には『フェニックス』で知られるアムスター・エレクトロニクス社がありましたが、今回お話するカナダのゲーム会社・ノヴァゲームスもその一社でした。

ノヴァ・ゲームズについて

ノヴァ・ゲームズ(Nova Games)は西暦1982年(昭和57年)から1983年(昭和58年)にかけてカナダはケベック州に本拠を持っていたゲーム会社です。

詳細は分かりませんが、当時のあちらのゲームセンタ向けに配布していたチラシに住所と電話番号が書いてありました。

実際にその住所をストリートヴューで調べましたが、流石に四十年近く前に消えた企業だったので跡形もありませんでした。

ヒット作『ポートマン』の原作社

日本では昭和57年(西暦1982年)にヒットした『ポートマン』がありましたが、ライセンス生産だったためクレジットにはタイトーの社名に書き換えられておりました。

  • このため、タイトーのオリジナルゲームだと思った方が多かった事でしょう。

この作品だけで終わっていたら、ノヴァ・ゲームズも「惜しまれつつ消えたゲームメーカ」と見なされていたかも知れませんが…。

ポートマン』に続いた作品は…

さて、翌年昭和58年(西暦1983年)。ノヴァ・ゲームズ社はこのゲームをリリースしました:

イントレピッド

深夜の旧ソヴィエト連邦大使館ビルに潜入して警備員をかわしつつ盗まれた機密文書を奪還し脱出すると言うゲームでした。

一方、この年タイトーはこのオリジナルゲームをリリースしていました:

エレベータアクション

高層ビルに潜入して警備員を倒しつつ機密文書を奪還して脱出すると言うゲームです。

自社製品の"劣化パクリ版"を掴まされた!?

さて、ノヴァ・ゲームズから『イントレピッド』を受取ったとき、タイトーの担当者が頭を抱えた事は容易に想像出来ます。

何しろ、自社製ゲームと同様のストーリーの、それも劣化版としか言いようがない代物がほぼ同時期にリリースされたと言うのですから。

  • 制作者も、昭和58年にタイトーの代理店でこの二作が並んでいたのを見て「タイトーは何で『エレベータアクション』の劣化版も同時リリースしたんだ?」と思ったくらいです。

それでも、ライセンス契約を結んでいたので日本での製造販売は行われましたが、やはりと言うかクレジットをタイトーの社名に書き換えずノヴァ・ゲームズのままでリリースしました。

これに懲りたのかタイトーはノヴァ・ゲームズとは契約を解消したようで、同社も後には新作が出されずに倒産したようです。

恐らく、『エレベータアクション』が輸出された事で北米でも『イントレピッド』が同作の劣化パクリ版と見なされてしまったのでしょう。