欧州でのリーチ麻雀。

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欧州で打たれている日本式リーチ麻雀について。

概要。

麻雀はアジア以外では余り打たれていないように思われますが、欧州には欧州麻雀協会(European Mahjong Association)と呼ばれる麻雀愛好者団体があります。

欧州麻雀協会では、中共麻将と日本式のリーチ麻雀が公式ルールとして採用されております。

かつては日本式のリーチ麻雀について、細部を見ると少なからぬ相違点が見られました。

しかし、西暦2015年までに日本プロ麻雀連盟と連携して、より日本式ルールに近いルールに改められました。

以下、欧州麻雀協会でのリーチ麻雀を、相違点を中心に解説していきたいと思います。

  • 令和元年10月 7日現在の欧州公式ルールは、西暦2016年改訂ルールとなります。
  • 一応、

    基本的なルール。

    東南半荘制

    東場と南場で一試合としております。

    連荘は荘家の和了か荒牌の際に聴牌していた場合にのみ認められ、その他の場合は(途中平局を含めて)輪荘となります。

    尚、平局での輪荘は、全局を通じて適用されます。すなわち、最終局で途中平局になるか、最終局で不聴輪荘となった場合もその時点で半荘終了となります。

    点数の規定

    点数に関しては以下のようになっております。

    持点の規定はありません

    試合開始時の持点および陸符(オカ)(トップ賞)に関する規定は一切言及されておりません。

    恐らく持点は点棒で点数を管理するためだけの意味しかないのでしょう。

    • ルールブックには用具として点棒は点数管理等に用いると言う意味の文言が明記されております。

    半荘開始時の点数を± 0としてスコアを録るようです。

    ウマは一万五千・五千

    持点に規定はないものの、半荘終了後にウマを与える事が明記されております。

    ウマは、一位が四位から一万点、二位が三位から五千点となっております。

    同点同順位の場合、ウマは該当する順位分の合計が等分されます。

    例えば、一位と二位が同点の場合、両者には双方のウマを合わせた四万点を二等分した二万点ずつがウマとして与えられます。

    • 西暦2012年 1月 8日の改訂まで、ウマは九千・三千でした。
    • 西暦2016年の改訂まで、ウマは三万・一万でした。
    一翻縛り

    西暦2015年改訂まで、五本場で両翻縛りとなっておりましたが、令和元年10月現在は常時一翻縛りとなっております。

    積み場あり

    荘家の和了または平局で一本積みとなります。

    ちなみに、欧州ルールでは積みカウンタと呼んでおります。

    また、点棒はカウンタの明示にも使用すると書かれております。

    喰断・先付・形式聴牌あり

    西暦2015年改訂まで、断幺九は門前でないと成立しないとしておりました。

    西暦2015年改訂後、今日に至るまで喰断ありになっております。

    形式聴牌については、

    • 自分で四枚用いている牌しか待ち牌がない場合は形式聴牌としない
    • 待ち牌が全て出尽くしていても(空聴でも)形式聴牌と見なす

    事が明記されております。

    槓ドラあり。立直者には全ての裏ドラあり

    槓をするとドラが追加されます。

    この場合、槓ドラ標識牌をめくった後で嶺上牌を取る旨が明記されております。

    立直者には、初ドラ及び全ての槓ドラに対する裏ドラが適用されます。

    喰い直し禁止

    現物・筋とも喰い直しは出来ません。

    • 西暦2015年改訂までは喰い直しに関しては一切規制がありませんでした。
    振聴・同巡内見送りは摸和しか出来ない

    同巡内の見送りは一時振聴としております。

    錯和の扱い

    錯和はその局を無効とし、立直者がいれば立直料を返還し、積みをカウントせず同じ局をやり直します。

    罰符については、西暦2015年改訂でトーナメント戦か否かに依り異なる扱いとなりました:

    • トーナメント戦:その場での罰符の収受を行わず、半荘終了後にスコアから 2万点を減点します。
    • オープン戦:その場で満貫払いとします。

    尚、西暦2015年改訂まではトーナメント戦でも満貫払いとなっておりました。

    多少牌・手牌崩し・壁牌崩し等は和了放棄

    今日の日本では多牌は不正行為を誘発する恐れがある事から錯和扱いとする場合が多くなっておりますが、欧州ルールでは多牌も和了放棄となります。

    また、他者の手牌を崩して見えるようにしてしまった場合や、壁牌を崩してしまった場合も、続行可能であれば同様に和了放棄に処されます。

    和了放棄に処された場合、当然吃・ポン・槓なども禁止されます。

    和了放棄に処された者が吃・ポン・槓を行った場合、直ちに錯和となります。

    両家和・三家和あり

    欧州では伝統的に両家和・三家和は和了者全員の和了を有効としております。

    • 西暦2015年の欧州国際大会では、日本ルールに合わせて両家和・三家和を下家取りとしていたようですが、その後全員の和了を有効とするルールに戻されました。

    放銃した場合は、それぞれの点数を支払う事と明記されております。

    尚、和了者の中に荘家がいる場合、他に和了者がいても連荘となります。

    また、立直料については、和了した立直者には返還され、残り(供託分を含む)は放銃者の下家から順に権利となります。

    また、西暦2015年改訂まで赤五索, 赤五筒及び赤五万各一枚の計三枚が固定ドラとして用いられておりましたが、現在では公式戦では使用しない事としております。

    • 但し、ルールブックには赤牌についてどのような牌かの説明はあります。

    立直に関するルール。

    立直料は千点
    宣言牌での放銃は立直は無効と見なして千点は払わないと明記されております。
    一発あり

    立直後に吃・ポン・槓があれば失効するのは日本と同じです。

    • 尚、西暦2015年改訂まで両翻縛りがありましたが、一発も役として扱っておりました。
    振聴立直あり、立直後の見逃しは以後振聴扱い

    西暦2016年版ルールブックには、「立直後に見逃した場合は"一時振聴"が一局終了まで維持される」と明記されております。

    立直後の暗槓は、手が変わらない限り可

    孤立した暗刻と同じ牌を摸牌してきた場合にのみ許されます。

    残り摸牌がない場合は立直不可

    摸牌可能な残り壁牌の枚数が四枚を切った場合は立直出来ないと明記されております。

    槓に関するルール。

    嶺上開花の責任払いはなし

    嶺上開花の解説で、摸和として扱うと明記されております。

    暗槓搶槓は国士無双の場合のみ可

    暗槓の解説で、国士無双の場合を除いて、暗槓では搶槓されませんと明記されております。

    五回目の槓は出来ない

    西暦2015年改訂で途中平局が全廃され、その結果一局で四つの槓が生じても続行する事となりました。

    ただ、その場合でも五つ目の槓は出来ないと明記されております。

    王牌は十四枚残し、海底での槓は出来ない

    これは言うまでもないでしょう。

    蛇足ですが、王牌は英語では Dead wall (死んだ壁牌)と呼んでおります。

    尚、西暦2015年改訂まで、加槓したら三秒待ってから次の動作に入る事が明記されておりました。

    これは、加槓した場合他者はこの三秒の間に搶槓を宣言する事が出来ます。

    三秒待って誰も搶槓しない事が確認出来たら、槓ドラをめくって嶺上牌を取った訳です。

    • このルールは現在では廃止されております。

    平局に関するルール。

    不聴罰符は場に三千点

    やり取りされる点数の合計が三千点となるように収受すると明記されております。

    途中平局はなし

    西暦2015年改訂で、途中平局は全廃となりました。

    西暦2015年改訂まで、三家和以外は途中平局としておりました。

    • 三家和は全員の和了としているため、途中平局にはなりませんでした。

    具体的には、三家和以外の日本で採用される場合が多い途中平局、すなわち

    • 四風子連打
    • 四槓算了
    • 四家立直
    • 九種幺九倒牌

    はいずれも途中平局となっておりました。

    尚、四家立直の場合を除いて、立直者は手を公開して聴牌を確認してもらう必要はないとしておりました。

    点数計算について。

    欧州でのリーチ麻雀での点数計算法は、日本のそれと殆ど同じですが、考え方が一部異なっております。

    副底

    副底(フーテイ)、すなわち和了時に与えられる点数に於いて、以下の例外を除いて20符とするとしております。

    • 七対子…副底を25符とし、これ以外の符は一切付けない
    • 門前栄和…副底を30符とする

    このように、数値は一致するものの、数値に至る考え方が大きく異なっております。

    門子符

    刻子と槓子について、符を与えるとしております。

    • この扱いは日本と全く同じでした。
    その他の符

    以下のものをそれぞれ 2符としております。

    • 三元牌の雀頭
    • 門風牌の雀頭
    • 荘風牌の雀頭
    • 単騎待ち
    • 辺張待ち
    • 嵌張待ち
    • 摸和(但し平和が成立する場合を除く)
    • 喰い平和

    喰い平和については、日本でも三十符で計算する事としておりますが、副底以外に付く十符の根拠を明確にしているルールは殆どありません。

    欧州ルールでは、喰い平和には二符が加算される事で、切り上げて三十符となるとしている訳です。

    数満貫

    数満貫の上限は三倍満貫(11翻以上)となっております。

    • 西暦2015年改訂で、四倍満貫(数え役満・13翻以上)は廃止されました。

    尚、西暦2015年の国際大会では 30符 6翻を満貫に切上げておりましたが、その後の改訂で切上げ満貫を廃止しております。

    役の扱い。

    欧州でのリーチ麻雀での和了役は、幺九振切(流し満貫)がない事を除けば日本の標準的な役セットと同じです。

    • 三連刻, 大車輪, 十三不搭などはありません。
    • 幺九振切は西暦2015年改訂改訂で廃止されました。

    但し、以下の点で異なっております。

    喰い下がり役の扱い

    日本では、例えば三色同順などは喰い下がり両翻としておりますが、欧州では逆に門前一翻増しの一翻役として扱っております。

    地和・人和
    • 地和は散家の第一摸牌での和了
    • 人和は散家の第一摸牌前の栄和で満貫

    としております。

    • 西暦2015年改訂まで、人和も役満貫とされておりました。
    ダブル役満

    西暦2015年改訂で、ダブル役満は認められなくなりました。

    • 西暦2012年 1月 8日改訂までのルールでは、四暗刻単騎, 国士無双十三門聴, 純正九蓮宝燈及び大四喜をダブル役満としておりました。
    • 西暦2012年 1月 8日以降は、大四喜のみがダブル役満となっております。
    • 尚、旧ルールでは、天和となった場合には四暗刻, 国士無双, 九蓮宝燈が複合しても、単騎, 十三門聴, 或いは純正として扱わないものとしておりました。
    包則

    大三元と大四喜について、最後の一組をポンまたは明槓させた者に対し、

    • 摸和なら全額責任払い
    • 栄和なら放銃者との折半払い(積み棒は放銃者のみ払う)

    と言う罰則が適用されます。

    尚、四槓子については包則は適用されません。

    また、字一色など雀頭を完成させないと確定しない役満貫に対しても、包則は適用されません。

    まとめ・西暦2015年改訂を受けて。

    欧州麻雀協会は、西暦2015年までに日本プロ麻雀連盟の協力を受けて日本ルールに大幅に近付けたものとなりました。

    但し、それでも

    • 持ち点の概念はないが、一万五千・五千のウマがある
    • 両家和・三家和あり
    • 多牌は錯和とせず和了放棄に処す
    • 数え役満無し

    など相違点は残っております。

    とは言え、かつては

    • 赤五牌三種三枚をドラとして利用
    • 喰断なし。門前でないと一翻としても認められない
    • 吃・ポン直後の打牌の制約はない
    • 不正立直は四家立直以外の途中平局では処罰されない
    • 大四喜はダブル役満

    などと日本での平均的なルールとは大きく異なったものとなっておりました。

    普段打ち慣れている日本ルールと較べてみて、どの程度の差を感じるでしょうか。

    人に依っては全然違うルールに見えるかも知れませんし、大した違いを感じないかも知れません。

    あとがき・この記事を作成した動機。

    海外でも麻雀は意外に人気があるようで、欧州には上述のように愛好者団体まであります。

    制作者はかつて海外の方からWABTILEの英語版も作って欲しいと頼まれた事があります。

    このため、しらぎく麻雀も英語版を中心に国際化を進めた方が良いかと思い、英語版のモードを追加しました。

    英語版では、ルールに海外で成文化されている数少ない日本のリーチ麻雀のルールである、西暦2012年版の欧州麻雀協会ルールを引用しました。

    • 但し、欧州ルールを完全にはサポートしておりません。

    このため、欧州での公式ルールについて記事にする事が出来たのです。