完全先付けについて。

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昭和40年代くらいまでリーチ麻雀で主流だった完全先付けルールについて。

完全先付けとは。

完全先付けとは、昭和40年代(西暦1970年代前半)くらいまでリーチ麻雀で主流だったルールで、しばしば完先(かんさき)と略されます。

現在はアリアリルールが主流ですが、昭和40年代くらいまではアリアリは殆ど打たれていませんでした。

考えとしては、役作りを重視したルールとなります。

また、完全先付けルールでは殆どの場合喰断無しとなります。

完全先付けルールの詳細。

翻牌の先付け。

完全先付けとは別に、翻牌の先付けと言う制限があります。

これは、

  • 翻牌以外の牌を吃・ポン・大明槓した後にポン・大明槓した翻牌は縛りを満たさない
  • 翻牌以外の牌を吃・ポン・大明槓した場合、双ポンとなる翻牌は縛りを満たさない(翻牌同士の双ポンであっても駄目)

と言うものです。

つまり、翻牌は

  • 暗刻・暗槓となっている
  • 翻牌以外の牌を初めて吃・ポン・大明槓する前にポン・大明槓している(特に初めて晒した翻牌)
  • 翻牌以外の牌を吃・ポン・大明槓していない状態(翻牌しか鳴いていないか門前聴牌)で双ポン待ちで和了した

場合に限り縛りを満たす役となると言うものです。

尚、縛りを満たさないと言っても、翻牌としての翻数は有効で他の役で縛りを満たせば翻数は加算されます。

完全先付けでの制限。

完全先付けの場合、上記の翻牌の先付けに加えて以下の制限があります:

  • 門前でない場合は、全ての待ち牌で縛りを満たさない場合は仮令縛りを満たす牌が出ても一切和了出来ない(摸和も不可)
  • 門前の場合は、全ての待ち牌で縛りを満たさない場合は栄和出来ない(摸和は可)

尚、ある状況で場に役が付く場合(嶺上開花, 河底撈魚, 搶槓和, 地和など)には、全ての待ち牌でこれらを加えて縛りを満たせれば和了出来ます。

  • 例えば、全く役がない門前でない手であっても、海底摸月や河底撈魚等の場合はそれらで縛りを満たせば和了が出来ます。

更に、上記の制限より以下のルールも加わります:

  • (両翻縛りの場合、)立直役を含めて全ての待ち牌で縛りを満たせない場合は立直が掛けられません。

    • 二重立直なら必ず全待ち牌で縛りを満たしますね。
  • 門前でない聴牌は全ての待ち牌で縛りを満たさないと不聴と見なされ、不聴罰符や親流れの対象となります。

具体的な例。

例えば、三・六・九索待ちで、九索なら一気通貫になるけど他の牌だと役が一切ない状態で聴牌したとします。

この手が門前聴牌でなければ、完全先付けのルールでは仮令九索が出ても引いても和了出来ません。

但し、海底摸月など場に訳がある状態なら、一翻縛りなら和了出来ます。

  • 勿論、このような状況で九索が和了牌になれば一気通貫も加算されます。

一方、門前聴牌の場合は九索での栄和は出来ませんが、一翻縛りで摸和であれば他の牌を引いても門前摸和が付くので和了出来ます。

両翻縛りの場合は、九索以外では役が足りず和了出来ませんが、九索を引いた場合は門前摸和と一気通貫の都合三翻で和了出来ます。

河底撈魚や搶槓和になるなら、一翻縛りであれば栄和も出来ます。

また、荘家の第一打牌なら地和となるため、縛りに関係なく栄和出来ます。

完全先付けルールの現状。

完全先付けルールは、昭和50年代(西暦1970年代後半)、ちょうどプロ麻雀の概念が確立し始めた頃から衰退していきました。

ただ、平成に入っても東京都足立区などで完全先付け制を採用したフリー雀荘が残っていたなど、まだ根強く残っている地域もあるようです。

とは言え、今日ではアリアリが主流となっております。

完全先付けを採用した公式ルール。

麻雀愛好者団体の公式ルールは大半がアリアリですが、日本牌棋院が発行した『新現代ルール』が制作者が知る限りで唯一完全先付けを採用しておりました。

但し、このルールでは、翻牌の先付けについて双ポンの翻牌を摸和した場合は役として扱う事になっておりました。

完全先付けを採用していたゲームソフト。

完全先付けを採用しているゲームソフトは少ないながらも実在します。

ファミコン麻雀(任天堂)

喰断, 翻牌の先付け, 形式聴牌は認められていますが、全ての待ちで縛りを満たす事が求められておりました。

特に中級以上では完全先付けの要件を満たさない場合には錯和(チョンボ)を取られます:

  • 全ての待ちで縛りを満たさない手で栄和しようとすると、仮令縛りを満たす和了牌であっても錯和を取られます。
  • 両翻縛りの場合に立直以外に役がない立直を掛けると、流局時に不正立直と見なされて錯和を取られます。
『ジャン狂』/ファミコン『四人打ち麻雀』(ハドソンソフト)

喰断なしを撰ぶと完全先付けになります。

勿論、喰断ありならアリアリになります。

『四人打ち麻雀教室』(新日本企画)

アーケードでの四人麻雀。ルールは喰断なしの完全先付けでした。

ビデオシステムの脱衣麻雀
一部作品にはアリアリに設定された基盤と完全先付に設定された基盤があり、その場合完全先付となっている基盤の方が多く流通しておりました。
リアル麻雀牌牌(アルバ)
スーパーリアル麻雀 PI〜PIII(セタ)
喰断なしの完全先付になっておりました。尚、PIV 以降はアリアリに変更されたようです。
拙作『しらぎく麻雀』『しらぎくモバイル麻雀
アリアリ, 喰断なし, 完全先付けから撰べます。

一般に、完全先付けを実装しようとするとプログラムが複雑になってしまうと言うのもあります。