天和で和了した場合の和了牌について。
天和で和了した場合の和了牌はどう判断するのでしょうか。
天和とは。
天和とは言うまでもなく、荘家が配られた配牌十四枚そのままで和了した場合に付く役です。
一生に一度あるかないかと言われていますが、実際には約六十二万局に一回の確率で生じると言われております。
天和での和了牌。
天和は配られた十四枚が和了の形になっているものですので、和了牌を特定する意味はないと思われます。
それでも、後述の問題から和了牌に相当する牌を敢えて定めるとしたら配牌十四枚目に取る牌、すなわちいわゆるチョンチョンの後ろのチョンとするのが順当でしょう。
しかし、通常、配牌を受取った際に理牌(牌を分かりやすく並べ変える事)するため、天和が成立した場合に和了牌の特定が困難になってしまいます。
- かと言って、理牌するなと言う訳にも行きませんし。
天和の和了牌の何が問題になるか。
通常、天和はそれだけで役満貫ですので、和了牌が何かを問う意味は殆どありません。
しかし、平成一桁の頃、ある麻雀雑誌の投稿質問コーナで、天和で四暗刻単騎となるのは、やはり十四枚目の牌で雀頭となる場合なのかと言う質問がありました。
回答者は紙面の関係もあるのでしょうが(そのコーナの最後の質問だったため、行数が残っていなかった)、そもそも四暗刻単騎をダブル役満にするのがおかしいとしか回答しませんでした。
確かにそれはそれで正論ですが、それでは質問の答えには全くなっていません。
質問に対して、全く答えていなかったのです。
実際に起きたトラブル。
実は、天和の和了牌を巡ってのトラブルは、実際に競技プロの世界で起きているのです。
- 件の質問はこのトラブルの前の事でしょうが。
競技プロ団体として知られる一〇一競技会は、天和を役として認めていない事で有名です。
一〇一では、天和となっていたとしても、ただの門前摸和でしかありません。
- つまり、さらに手が大きくなりそうなら敢えて和了しない事もあり得ます。
そんな一〇一のある日の公式戦で天和が発生しました。
そのときの手は、よりによって翻牌でない雀頭に四つの順子。つまり、
と言う手だったとの事です。
さて、和了牌は理牌して手の中に紛れ込ませてしまい、当然和了牌の特定が困難になってしまいました。
このときは、幸い立会人がいて和了牌を特定出来たため、両門待ちと判定され、めでたく門前摸和・平和となったそうです。
ただ、そのトラブルは一〇一でもその後問題になったようで、平成21年 6月現在の公式ルールでは以下のように改訂されております。
※オヤが配牌でアガリを宣した場合は,アガリ牌を特定せず,最低点とする。ピンフ役は認められず,テンパイ形小符についても一切加算されない。
天和の和了牌に関しては、これが最も現実的な対応ではないでしょうか。
尚、平和に限らず、一〇一ルールでは和了牌に依り符跳ねするか否かと言う状況でも同様のトラブルが起こり得ます。
例えば幺九牌の暗刻が一つだけで、あとは符が付かない門子であれば暗刻の 8符に摸和 2符が加わってちょうど30符となりますが、単騎などであれば更に2符加符されて32符は切上げで40符となります。
これも、現行ルールでは暗刻の 8符と摸和 2符のみが有効となり、符跳ねはない事となります。
そもそも、天和に待牌の概念があるのか?
天和は配られた十四枚で和了形となると言うものです。
と言う事は、何待ちかと言う概念はそもそもあり得ないのではないのでしょうか。
確かに、初めの十三枚で聴牌形となるのが必要条件ではあり、その際に何待ちかと言う事になり得ますが、待ちを特定する必要があるのなら、荘家も十三枚だけもらって、開局時に第一摸牌を行なえば良い筈です。
件の質問の妥当な回答。
件の質問については、確かに四暗刻の単騎, 国士無双の十三門待ち或いは純正九蓮宝燈の特別扱いがそもそも宜しくないのですが、回答例としては以下のようになるでしょう。
- 現実的に天和での和了牌の特定は困難なので、特定しない。四暗刻単騎を特別扱いしているなら、天和では単騎でないとするのが妥当だ。
そのうえで、と言うか、四暗刻単騎の特別扱いがそもそもおかしいんじゃないか?と付け加えれば良かったでしょう。
制作者の作品の場合。
制作者の作品では、プログラム上の都合から、荘家の配牌は第一摸牌に相当する右端の牌を除いた十三枚で理牌するようになっているので、天和でも和了牌の特定は簡単です。
但し、制作者は天和の和了牌は特定するものではないと思っているため、仮に和了牌の特定が必要な役は天和では一切考慮しないものとするでしょう。
- 実際には、制作者の作品では役満貫の点数の重複を一切認めていないため、この問題は生じません。
欧州麻雀協会の旧ルールの場合。
欧州麻雀協会のルールでは、西暦2012年 1月まで四暗刻単騎, 十三門聴の国士無双, 純正九蓮宝燈と大四喜をダブル役満としておりました。
- 西暦2012年 1月以降は大四喜のみがダブル役満役とされ、四暗刻単騎, 十三門聴の国士無双及び純正九蓮宝燈の特別扱いは廃止されました。
しかし、天和となった場合については、四暗刻単騎, 十三門聴の国士無双及び純正九蓮宝燈の特別扱いを認めない事としておりました。
これも、和了牌の特定が困難である事が理由でしょう。