DSテレジャン(データイースト)のお話し。
初期のアーケード向けコンピュータ麻雀の一つ・DSテレジャン(データイースト)について。
DSテレジャンとは。
DSテレジャンとは、データイースト社が昭和56年(西暦1981年)に発売した、アーケード用麻雀ゲームソフトウェアでした。
当時データイースト社はカセットテープでプログラムを提供するDECOカセットシステムを導入しており、DSテレジャンもカセットシステムのソフトウェアとして発売されました。
ジャンピュータがリリースされて一年もしないうちに発売出来たのは、恐らく麻雀荘向けにかきぬま社(当時存在していた麻雀用具の製造販売会社)とテレジャンを共同開発した実績があったからでしょう。
DSテレジャンの特筆すべき点として、コンピュータとの一対一のプレイだけでなく、人間同士の対局も可能になっていた事が挙げられます。
元となったテレジャンでは、衝立で四人の手が互いに見えないようにしておりましたが、この方法をDSテレジャンにも採用する事で、二人同時対局を可能にしました。
- DSテレジャンのリリースを受け、日本物産やタイトーも、対局可能なジャンピュータを発売しました。
主な仕様。
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一人用としてゲームを始めた場合、プレイヤーが起家となり、コンピュータは南家となります。
二人用としてゲームを始めた場合、開始前に起家決めを行います。二つの 1から 6までの数字がランダムに代わり、大きい数になった方が紀家となり、もう片方が南家となります。
いずれの場合も、南家が和了した場合のみ荘家が交代します。
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荘風はなく局数無制限ですが、時間制を導入しており、一局終了後時間切れになるとゲームオーヴァとなります。
和了すれば和了点分制限時間が増え、和了されると逆に制限時間をその分奪われてしまいます。
- ゲーム開始時は、持ち点・制限時間とも三万点となり、操作出来る状態のときのみ一秒に数百点くらいの速度で制限時間が減らされます。
- 一人用の場合、平局時に相手の手が公開されますが、二人用の場合は平局時にはお互いの手は表示されません。
- 和了時には、役満貫でない限り必ず符と翻数が表示されます(数満貫であっても符が表示されます)。翻数には場の両翻は加算されず、符は切上前の端数を含んだ状態で表示されます。
尚、多くのアーケード麻雀が手牌を左から A, B, C…とアルファベットで表示しているのに対し、DSテレジャンでは 1, 2, 3…と数字で表しておりました。
ちなみに、DSテレジャンの入力デヴァイスはジャンピュータの麻雀パネルとは互換性がない独自のものだったそうです。
ルール。
- 場に両翻が付きます。
- 喰い断・先付けともありです。不聴輪荘はもちろん、不聴罰符もないため、形式聴牌の概念はありません。
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ドラは初ドラのみで標識牌の次牌となります。立直を掛けて和了すると裏ドラが付きます。
- 蛇足ですが、ドラが標識牌の次牌となっていたゲームは当時は殆どありませんでした。
- 喰い直しの制限は一切なく、喰った現物を打つ事も許されておりました。
- 役満貫は四倍満です。ダブル役満・数え役満もあります。
- 錯和などの罰則は一切ありません。
役の特徴。
コンピュータのプレイ。
- コンピュータは基本的に門前で手を進めますが、翻牌が暗刻になった場合のみ、他の門子を吃・ポンで作る事があります。
- 槓は絶対にしません。
- 門前で聴牌すると必ず立直する訳ではなく、闇聴で和了する事もあります。
- また、狙うのは門子型のみで、七対子は狙って作る事はないようです(偶然七対子の聴牌になっていても、聴牌と認識せず闇聴で和了する事はあります)。
主なバグ。
DSテレジャンも結構バグがありました。
- 立直を掛けていないどころか、門前でもないのに一発が判定される場合があります。しかも、どのような場合に一発になるのか分かりません。
- 役のない門前でない手でも摸和出来ます。但し、上記の"謎の一発"がない場合はドラがあってもカウントされず、和了点は 0点となり、供託されたリーチ棒のみが収入となります。
- 槓出来る牌が二種以上ある場合でも、選択が出来ません。左側から順に槓可能な牌を槓してしまいます。
- 立直後、手の中にある四枚や暗槓すれば手が崩れてしまう牌を摸牌してきた場合にも暗槓が可能です。その場合、聴牌が変わったり聴牌でなくなってしまっても反則になりません。特に上記の槓牌を選択出来ないと言う問題から、既に同じ牌が四枚ある状態で立直をしてしまうと、後から引いてきた牌での槓が事実上許されなくなります。
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一方、七対子型の混老頭は混老頭ではなく混全帯幺として扱われます。
- 荘家の第一打牌での栄和は一切出来ません。従って、人和(DSテレジャンでは散家の第一摸牌を地和としているため)はありません。
- アーケード麻雀では定番のバグとして、順子三組とした方が高くなる場合であっても三連刻としてしまいます。
- 暗槓して嶺上牌で和了した場合でも天和や地和が成立します。
特に、"謎の一発"は意外に頻発するバグで、正直言ってゲームにならないと言う程ではないものの、困ったバグの一つです。
また、バグではなく仕様のようですが、立直宣言牌に何の目印も付けません。
このため、何時立直が掛かったかが分かりません。
もう一つ、吃をすると喰った牌は手から出した牌二枚の左に並べられます。例えば、をで吃すると と並べられます。
四人打ちならこれが正しいのですが、相手が対門にいるので、却って分かり難くなってしまいます。
更に、副露した門子を縦に並べる場合、通常は手前から順に並べるのですが、DSテレジャンでは逆に前から手前に並べると言う実装で、これも慣れないと分かり難いでしょう。
その他。
許諾コピー品・ロンジャンについて。
制作者は、東京都内の某ゲームセンタでロンジャンと言うDSテレジャンの正規許諾品を見た事があります。
- データイースト社の許諾シールが貼ってあったので、不法コピー品ではない筈です。
ロンジャンは完全なコピー品ではなく、少なからぬ改変が行われておりました。
その一つとして、縦画面のDSテレジャンを無理矢理横画面にしているため、牌が横長になっておりました。
サウンドやアトラクトにも大きな違いがありました。
加えて、平局の場合は両者の手牌が公開されるようにもなっておりました。
また、何よりもカセットシステムではないため、起動するとすぐにゲームが出来るようになっておりました。
その一方で、変なバグが幾つかありました。
- 門前でない役のない手で河底で和了しようとすると河底撈魚が付かず、役なしの和了となってしまいました。この場合も、和了点は零となり、供託点のみが収入となりました。
- 門前手での打牌時に立直ボタンを二回以上押すと、押した分だけ1,000点が減じられました。だからと言って、供託されるのは1,000点のみで、残りの点数は消えてなくなってしまいます。
制作者は他のゲームセンタではロンジャンを見た事はなく、正規品とは言え殆ど普及しなかったようです。
尚、昭和57年(西暦1982年)にはサンリツ電気から ロンⅡ がリリースされましたが、全くの別物であり、ロンジャンとは何の関係もない筈です。
- 他にも、ベット系マージャンにもロンジャンと言うのがあったようですが、これもロイヤルマージャンの改造品のようで、従って全くの別物でした。