ジャンピュータ(アルファ電子・三立技研)のお話し。

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アーケード向けコンピュータ麻雀の元祖と言えるジャンピュータ(アルファ電子・三立技研)について。

主な仕様。

  • ゲーム開始時、プレイヤーは荘家、対門のコンピュータは南家となり、南家が和了した場合のみ荘家が交代します。
  • 荘風はなく局数無制限ですが、時間制を導入しており、一局終了後時間切れになるとゲームオーヴァとなります。

    和了すれば和了点分制限時間が増え、和了されると逆に制限時間をその分奪われてしまいます。

    • ゲーム開始時は、持ち点・制限時間とも三万点となり、プレイヤーが操作出来る状態のときのみ一秒に数百点くらいの速度で制限時間が減らされます。
    • 尚、ゲームを放棄して立ち去られた場合の事を考えて、制限時間がマイナス10万に達すると一局途中でも自動的にゲームオーヴァとなる機能もあります。
  • コンピュータが立直を掛けると、持ち点・制限時間共に千点加算されます。

ルール。

  • 場に両翻が付きます。
  • 喰い断・先付けともありです。不聴輪荘はもちろん、不聴罰符もないため、形式聴牌の概念はありません。
  • ドラは初ドラのみで標識牌そのものとなります。立直を掛けて和了すると裏ドラが付きます。
  • 喰い直しは現物のみ禁止。筋の喰い直しは可能です。
  • 数満貫は倍満貫まで。役満貫は三倍満です。
  • 錯和などの罰則は一切ありません。

役の特徴。

  • 両盃口(リャンペーコウ)イーペイコウ 2ハン と表示されます(手抜き?)。

    三連刻はありませんが、門前に限り一色三順が認められ、それも イーペイコウ 2ハン と表示されます(バグ?)。

    • 尚、役の判定時に順子を優先した門子分けと刻子を優先した門子分けの双方で役を判定して高い方を取るようにしているようです。
  • 三槓子(サンカンツ)は三翻となります。一方、四槓子(スウカンツ)はありません(三槓子とみなされてしまいます)。
  • 九蓮宝燈(チュウレンポトウ)万子(マンズ)でないと成立しません。

    • 制作者は筒子(トンズ)の九蓮宝燈を和了した事がありますが、ただの清一色と見なされました。
  • 緑一色は緑発が無いと成立しないようです
  • いわゆる喰い平和の栄和では20符で計算します。摸八平和あり、七対子は両翻含めて100点として計算。
  • 地和は荘家の第一打牌での栄和人和は散家の第一打牌での栄和です。尚、散家の第一摸での和了は特に役満貫とはしておりません

    • コードを流用して作られたデッドコピー品などには、地和・人和の定義が変更されているものもあるようです。

コンピュータのプレイ。

  • コンピュータは基本的に門前で手を進めますが、万子(マンズ)一色手を作る場合にのみ吃・ポンをするようです。しかし、これには重大なバグがいくつかありました(後述)。
  • 翻牌のポンは一色手を作っている場合のみ可能性があります。
  • コンピュータは和了するまで理牌しません。ポン・吃した場合、手から抜き取って空いた箇所を理牌して詰める事はありません。
  • 槓は絶対にしません。
  • 門前で聴牌すると必ず立直する訳ではなく、闇聴で和了する事もあります。

主なバグ。

ジャンピュータは結構バギーです。

これらのバグは、デッドコピー品にはなかったり、デッドコピー品でのみ生じるなど、製品に依って生じたり生じなかったりするものもあります。

また、ロイヤル麻雀などへの移植の際に併せて修正されたものも多々あります。

  • 吃・ポンの直後に和了や槓が出来ます(実戦では吃・ポンの直後には必ず打牌しなければなりません)。
  • 立直後、手の中にある四枚や暗槓すれば手が崩れてしまう牌を摸牌してきた場合にも暗槓が可能です。その場合、聴牌が変わったり聴牌でなくなってしまっても反則になりません。
  • 相手が立直を掛けるとその時点で持ち点・制限時間ともに千点加算されますが、その供託点は和了時にも加減算されます。つまり、コンピュータが和了すると返されるだけですが、人間側が和了すると二重取りになってしまうのです。逆にこちらが立直を掛けて和了された場合も、立直代が立直時と和了時の双方で二重取りにされてしまいます
  • 相手が和了した場合、和了牌を含めて理牌してしまいます。結果、何で和了したかが一見して分からなくなってしまいます。
  • 一万・二万・四万と手の中にある状態で三万が打たれ、それを吃しようとしてチーボタンを押下し、その直後間髪入れずにAボタン(一万)を押すと、一万と二万だけが(さら)され、喰った三万は何故か摸牌とされてしまうバグがあります。こうなってしまうと当然多牌となり、以後その局では和了が不可能になってしまいます(実戦だったら多牌は概ね錯和(チョンボ)として処分されますが、ジャンピュータには錯和の概念がないため、和了放棄以外のペナルティはありませんでした)。
  • コンピュータは万子(マンズ)一色手を作る場合にのみ吃・ポンをするようですが、稀に筒子(トンズ)万子(マンズ)の門子を喰う事があります。しかし、その場合吃したあとその局の途中でシステムが暴走してしまい、続行不能になってしまいます。
  • また、稀にコンピュータは三元牌を吃する事があります(勿論人間側はそんな事は出来ません)。そしてその手で和了された場合、その順子には役牌の一翻が適用されます。
  • 自分があと一枚模牌出来る状態でも河底撈魚(ホーテイローイ)が付く場合があります。
  • 第一摸牌後に暗槓して立直しても二重立直となります。尚、二重立直の場合は一発であっても一発は付きません。加えて、荘家が散家の第一打で和了した場合に人和となりますが、荘家が二重立直を掛けていた場合には人和が付かなくなります。
  • 立直宣言牌には、目印として赤いドットが牌の下部に打たれますが、この牌を喰われた場合、次に打たれる牌には目印が表示されません(実戦では横向けに打った立直宣言牌を喰われた場合は、次の打牌を代わりに横向けにする事になっている筈です)。従って何時立直されたか判り難くなります。
  • コンピュータが形式的に和了出来る牌を打った場合、それで和了出来るか否かを判定するのに時間が掛かります。振聴や役無しなどの場合、摸牌まで数秒掛かります。

    • バグとは言えるかは疑問ですが、このプログラムを流用した麻雀ゲームの中には流局時にコンピュータの和了牌を当てさせるものもあり、そう言うゲームでは滅多に起こらないとは言え答えを自ら暴いてしまう事になります。
  • 符の計算がデタラメです。平和や七対子の場合を除いて、摸和の場合も栄和と見なして符を計算しているようです。
  • 門前のみ一色三順が判定されるのも両盃口(リャンペーコウ)の判定の手抜きに起因するバグに依るものかも知れません。
  • 字一色七対子を正しく判定しません。混老頭混一色七対子と見なしてしまいます。
  • コンピュータが九蓮宝燈(チュウレンポトウ)を和了するとフリーズして次局に進めなくなってしまいます(制作者が一回目撃しました)。

    九蓮宝燈(チュウレンポトウ)和了すると死ぬと良く言われますが、ゲームが死んでしまう訳です。尚、このときコンピュータは振聴にしてまで純正にしてきた事を付記しておきます。

その他。

コードについて。

当時ヒットした他のヴィデオゲーム同様、多数の違法コピー品が氾濫しましたが、タイトーや日本物産など正規にライセンスを獲ってリリースしたところもあり、その中には人間同士の対局に対応させたり槓ドラが付くようにしたりなどの独自の改変を行ったものもありました。

また、ジャンピューターのコードはロイヤルマージャンなどにも流用されるなど、長きに亘りアーケード麻雀の"ゲームエンジン"のデファクトスタンダードとして存続してきました。

しかし、当時のコンピュータのスペックが今日とは比べ物にならないほど貧弱だったからか、速度は非常に遅いものでした。

もしかしたら、コードはインタプリタ型の高級言語で記述されていたのかも知れません。

主なゲーム。

セガ SG-1000/SC-3000/ツクダ オセロマルチビジョン用麻雀

セガの家庭用ゲーム機・SG-1000 及びホームコンピュータ・SC-3000 及びツクダオリジナルの互換機・オセロマルチビジョン用のソフトウェアである麻雀は、恐らくアルファ電子の OEM と思われます。

セガは、コナミ工業(当時)やサンリツ電気など、様々なゲーム会社に OEM 開発を委託しており、麻雀についてもジャンピューターを開発したアルファ電子に委託したと思われます。

セガ版麻雀では、時間制限のない半荘制となり、また

  • 地和は散家第一摸牌での和了
  • 人和は荘家第一打牌での和了

に改められておりますが、その他の仕様についてはジャンピュータとほぼ同一です。

尚、SG-1000/SC-3000 には、これ以外にも

  • 三人麻雀
  • ホーム麻雀(四人打ち)

も出されておりましたが、これらはジャンピューターとは異なるコードとなっているようです。

  • 特に三人麻雀はセガではなくツクダオリジナルの製品となっております。
東亜プラン・麻雀シスターズ

シューティングゲームで知られた東亜プラン(倒産)は、昭和59年にロイヤル麻雀基板を利用した脱衣麻雀・雀王、翌昭和60年にも同様の脱衣麻雀・雀狂をリリースしておりますが、更に翌年の昭和61年にはデザインを一新した麻雀シスターズがリリースされております。

実際に調べてみたところ、以下の点を除いてジャンピュータと同じ仕様となっておりました。

  • 不聴罰符あり
  • 槓ドラ・槓裏ドラあり

この他、脱衣麻雀ですので、言うまでもなく時間制限制ではなく、持ち点制となっております。

  • 蛇足ですが、時間制限制の脱衣麻雀はこれまで全く現れなかった訳ではありません。

    昭和60年(西暦1980年)にパラダイス電子と言う会社から発売された『ハニーガールズ』は、タイマ制の脱衣麻雀でした。

    そのゲームはロイヤルマージャン風の画面の左上に小さく女の子が描かれると言う初期の脱衣麻雀そのもののスタイルでしたが、女の子が六人くらいから撰べたのが売りだったようです。

    • 同一作品は、時間制限制の他ベット制となっているものもありました。

サウンドについて。

当時がテクノブームだったからか、或いはサウンド機能が今ほど充実していなかったからか、如何にもテクノ風の電子音が鳴り響いたものでした。

ゲーム中のバックミュージックも、ドナ・ドナなどをテクノ風にアレンジした楽曲だったと記憶しております。

また、タイトー版では一部を除いて女声でチー, ロンなどと発声して臨場感を高めておりましたが、一部不正コピー品でもやはりリーチ!などと男声のような効果音を出していたものもありました。