四人打ち麻雀ジャントツ(サンリツ電気・キワコ)について。
サンリツ電気株式会社と株式会社キワコが昭和58年にリリースしたアーケード麻雀ゲーム・四人打ち麻雀ジャントツについて。
昭和時代の作品としては数少ない四人打ち麻雀ゲームでした。
四人打ち麻雀ジャントツの概要。
四人打ち麻雀ジャントツは昭和58年にサンリツ電気株式会社が開発、株式会社キワコが販売した四人打ちのアーケード麻雀ゲームでした。
- サンリツ電気株式会社はジャンピュータを販売した株式会社三立技研とは関係はありません。ちなみに、サンリツ電気は相模原市中央区、三立技研は東京都新宿区にありました。
昭和時代のアーケードゲームで四人打ちとなっているのは、このジャントツの他、同年にリリースされた麻雀教室(株式会社新日本企画、後の株式会社エス・エヌ・ケイ)くらいでした。
- 蛇足ですが、サンリツ電気株式会社はゲーム事業を設立した子会社・シムス株式会社に移管したのち売却して撤退、現在では電気の保安点検などを業務とする株式会社メガに改称して存続しております。一方、株式会社キワコについては平成に入ってからの消息は不明です。
同年にリリースされた麻雀教室と違い、卓を囲むようなレイアウトとなっておりました。
- 麻雀教室は当時のPCでのグラフィック麻雀のように、画面を縦四段に区切り、打牌を平行させて表示しておりました。
それ以前にリリースしていた二人打ち麻雀・ロンⅡの実質的な続篇で、ルールも基本的には同じものとなっております。
- ロンⅡは槓ドラ, 積棒, 不聴罰, 九種幺九倒牌など他社製品にはない画期的な機能がありました。ロンもあったそうですが、どのようなものかは知りません。
サンリツ電気は、その後ジャントツにマイナーチェンジを施したジャントツスーパーをリリースしましたが、それ以降四人打ち麻雀を出す事はありませんでした。
四人打ち麻雀ジャントツのプレイ。
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一人または二人がコインを投入してプレイします。
- 二人プレイの場合は、互いに対門となるように座ります。
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手牌の部分には偏光シートが被せられているため、二人プレイでも相手側の手牌は一切見えません。
蛇足ですが、二人プレイ対応麻雀では、相手の手牌はCRT画面の上に立てた衝立で反対側から見えないようにしているものが主流でしたが、衝立の代わりに偏光シートを採用したのはジャントツが最初で最後だったと思います。
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タイマー制で、一局終了時にタイマーがマイナスになっているとそのプレイヤはゲームオーヴァー。
- この場合、コインを追加すれば継続が可能です。
- 二人プレイで、どちらかが継続をしなかった場合は以後タイマーが残っている者のみでの一人プレイとなります。
蛇足ですが、タイマーが減少している間、一定時間入力がないと女声で
遅いよ?
と言われて警報音が鳴り続け、それでも入力がないと摸切りなど勝手に先に進めてしまいます。 -
他者の打牌で栄和, 明槓, ポンが出来る場合であっても待ってくれません。一定時間を経過すると次の家が摸牌してしまいます。
- 続篇のジャントツスーパーでは、ちょっと待ってボタンが追加され、待ってもらえるようになりました。但し、この場合も当然待っている間は残り時間の減少対象となります。
尚、上家の打牌については、仮令栄和や吃などが出来ない場合であっても、摸牌ボタンを押さないと摸牌しません。勿論、摸牌するまでの間は残り時間の減少対象となります。
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吃または槓が出来る組合せが複数ある場合は、可能な組合せを順番に牌の上にあるキーの表示が反転される事で示されるので、任意のボタンを押します。
- この選択入力の反応が異常に鈍いので注意してください。
- 一局終了時の進行は自動的に行われます。
- コンピュータは字牌のみポン, 暗槓, 加槓または明槓します。数牌は一切鳴きません。
四人打ち麻雀ジャントツのルール。
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東南半荘制だが、最終局で三万一千点に達した者がない場合は西入する
- 西場終了時も三万一千点に達する者がいなければ北入し、北場終了でも駄目なら再度東入する。
- 但し、再度東入しても、いわゆる"返り場"とはならず、西場・北場同様半々荘終了時に三万一千点に達した者が現れたか判断する。
- 二万五千点持ち、三万点返し
- 槓ドラあり。槓ドラは常に嶺上牌を引く前に標識牌をめくる
- 立直者には一発と全てのドラに対する裏ドラあり
- 喰い断幺・先付け・形式聴牌あり
- 振聴は栄和不可
- 国士無双の暗槓搶槓及び振聴での現物以外での栄和あり
- 両家和は頭跳ね
- 不聴罰符は場に三千点
- 包則はなし。例えば大三元を三副露した場合でも責任払いにはならない。
- 最終局を除き不聴輪荘。全員不聴の場合も連荘
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三家和,四家立直, 四風子連打, 四槓算了, 及び九種幺九倒牌は連荘。三家和は荘家が打った場合は輪荘(バグ?)- 四槓算了は四つ目の槓をして搶槓されなかった時点で成立。嶺上牌は取らない。
- 明槓での嶺上開花は三人払い
- 王牌十四枚残し
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- 前作のロンⅡは七対子を五十符一翻相当で計算していたので、バグと思われる。
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和了役として、通常リーチ麻雀で採用される役に加えて、以下のものが採用されている。
- 槓振和は嶺上開花として扱われる(嶺上振込み?)
- 四槓子は四つ目の槓子を副露した時点で和了(形式的に嶺上牌を摸牌するが、雀頭は完成させなくても良い)。槓した牌が摸和牌とみなされ、大明槓であっても三人払い。また、四槓子に伴う他の役は一切付かない(例えば四風牌を四つとも槓した場合でも四喜和にはならない)
- 地和は荘家の第一打牌での栄和。人和は散家の第一摸か第一摸以前の散家の第一打での和了。
- 緑一色は緑発必須
- 大車輪は数位が連続した筒子の七対子(数位は問わない)
- 九蓮宝燈はスートを問わない
四人打ち麻雀ジャントツの主なバグ。
四人打ち麻雀ジャントツには以下のバグがありました。
- 1P側プレイヤが打った牌を上家がポンした場合
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この場合、間違って中央の牌を横向けにして露します。つまり、1Pプレイヤの下家が鳴かせたものとして表示されます。
- 続篇のジャントツスーパーでは、このバグは修正されました。
- 河底牌がポン・吃出来る
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河底牌は栄和しか許されない筈ですが、ポン・吃のコマンドが有効となります。
但し、コンピュータは原則として字牌以外は鳴かないので、コンピュータが河底牌をポンするなどと言った問題は生じないようです。
- 大明槓の直後
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暗槓及び加槓の直後では、他者が搶槓和する可能性があるため、槓してから嶺上牌を取るまでの間、一定時間静止します。
- 国士無双の暗槓搶槓の可能性があるため、暗槓でも静止します。
明槓の直後でも、他者の搶槓和が不可能なのに、嶺上牌を取る前に一定時間静止してしまいます。
- 続篇のジャントツスーパーでは、このバグは修正されました。
- 七対子の符
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前作のロンⅡは七対子を五十符一翻相当で計算していましたが、これを三十符で計算しておりました。
確かに、西日本には七対子を三十符で計算するルールもありますが、摸和平和があるなど、他のルールは東日本式のルールを取っている事から、恐らくバグと思われます。
- 混一色となっている幺九七対子
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混一色となっている幺九七対子を和了した場合、混一色が付きません。
混老頭七対子のみ判定されます。
- 三家和でのバグ
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荘家が打った打牌で三者が同時に栄和して三家和となった場合、輪荘となります。
- その他の途中平局では輪荘とはならないので、恐らくバグでしょう。
- 一色三順のバグ
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門前で同一順子三つとした方が有利な場合であっても、三連刻と見なされてしまいます。
- 三色同刻のバグ
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一から七までについて、当該数位の筒子, 索子の刻子と、数位に対応する字牌の刻子で三色同刻が成立します。
- 東風から紅中までがそれぞれ一から七に対応します。
- 頭跳ねされた者の手
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ジャントツでは、一局終了時に全員の手を開きますが、頭跳ねされて栄和し損ねた者の手牌は、和了牌(?)を含めた状態で理牌されてしまいます。
- 吃または槓の選択入力
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複数の組合せが考えられる場合の選択入力の反応が異常に鈍くなっております。
状況に依っては、幾ら押しても反応せずに残り時間がどんどん減っていくと言う事態にもなります。
- 役名
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以下のような誤字がありました。
- 七対子
- チイトチ
- 地和
- チンホウ
- 一色四順
- イイソウスウシャン
- 四倍満貫の扱い
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役が十五翻以上になって四倍満貫となる場合、役の明細には役名が表示されず、カゾエヤクマンと言うのが役名として表示されます。
- その後の二人打ち脱衣麻雀でも改善がなかったので、恐らく仕様なのかも知れませんが。
更に和了点は四倍満貫であるにもかかわらず、サンバイマンと表示されます。
- 幺九振切
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幺九振切(流し満貫)を和了すると上家の無限大点の和了となってしまいます(役名なし)。
- 点数の収受がいつまでたっても終わらなくなるため、ゲーム継続が不可能になります。
- 天和
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天和で和了するとフリーズします。
- 地和・人和
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和了前に誰かが暗槓しても成立します。
荘家が第一打前に暗槓し、その直後の打牌で和了となった場合は地和ではなく人和となります。
- ジャントツでは荘家の第一打での栄和を地和としています。
- そもそも、和了前に槓があった場合の天和, 地和及び人和は成立しないのが正しい扱いです。
あとバグではないと思いますが、ポン, 吃及び槓をすると、手が左に詰められるのに、露した門子は何故左に置くのでしょうか。
露した門子を左に置くなら、手を右に詰めた方が良いと思いますが。
四人打ち麻雀ジャントツに関する余談。
四人打ち麻雀ジャントツはディップスイッチの設定で、雀卓のラシャの色を黒, 青, 緑または紫の中から撰べました。
ただ、制作者はラシャの色に紫を選んでいたゲームセンタを見た事がありません。
殆どのゲームセンタではラシャの色を黒にしておりましたが、何故かタイトーの直営店や代理店ではラシャの色は緑にされておりました。
そして、タイトー系以外の店舗で緑にしている店舗は殆どありませんでした。
- ちなみに、タイトーでは当時ジャンピュータなどには他社製とは違う独特のタッチの麻雀キーボードを採用しておりました。
タイトー系以外では黒が殆どで、僅かに青のところがあったくらいでした。